生徒交流の場「六稜倶楽部」が竣工
150周年を記念した木造建造物
北野高校六稜同窓会
大阪府立北野高校六稜同窓会(大阪市、野村正朗会長)が同校の敷地内に建設していた「六稜倶楽部」が1日、竣工した。 同建物は生徒が文化系・運動系の区別なくクラブ活動に利用できる交流拠点で、同校創立150周年を記念して建てられた。 建設費用は約2億3000万円で、同校卒業生らによる寄付金で全額賄った。基本設計は徳岡浩二同会常任理事、構造設計は満田衛資構造計画研究所、実施設計・監理は匠建築工房、施工は津田産業が担当した。
六稜倶楽部は、延べ床面積488.04平方㍍。建物は木造2階建てで、ホールや多目的スタジオ、各クラブ部の部室(2室)、更衣室、シャワールーム、トイレ(多目的トイレ含む)などで構成。ホールや多目的スタジオの床には複合フローリング、壁と天井には天然木化粧有孔吸音板、更衣室やトイレの壁には化粧板、開放廊
下の床には再生木デッキなどを採用。そのほか、空調や創エネのために太陽光発電設備を取り付けている。.
六稜倶楽部の特徴は、建築資材に鉄やコンクリート、樹脂といった工業製品ではなく、自然素材である木を多用していること。
木の使用総量は150立方㍍で、学校建築の木造木質化を推進している文部科学省の意向にも合致した設計となっている。徳岡常任理事は「木のぬくもりにあふれる空間が出来上がった。木を使うことで調質効果が生まれるだけでなく、ストレスの軽減や免疫抵抗性の向上など健康増進効果が期待される」と話す。
また、同高は淀川近くに立地していることもあり、地盤が軟弱だ。そこで六稜倶楽部の建設に当たっては、LP-SoC工法(丸太打設軟弱地盤対策&カーボンストック工法)を採用し、径級(未口)が14~20㌢の長野県産カラ松丸太150本を使用。軟弱地盤に丸太を打設することで摩擦力や先端支持力を生み、地盤の支持力が向上。また、使用した丸太は地下水位以深では酸素がないため腐朽せず、半永久的に健全性が保たれる。
17日に開かれた竣工式には、野村六稜同窓会会長や天野誠同校校長らが出席。式典では、野村会長が六稜倶楽部の建設事業に携わった関係者らに感謝状と記念品を贈呈した。また、基本設計者の徳岡常任理事や施工者の津田潮津田産業社長が謝辞を述べた。式典終了後は、徳岡常任理事らの案内で六稜倶楽部の完成見学会も開かれた。