脱炭素先行地域で環境省
御堂筋エリアを選定
困難な適地確保にも対応

環境省は11月7日、大阪市が道路空間再編事業を行う御堂筋エリア(淀屋橋~本町)を「脱炭素先行地域」に選定した。大阪市と御堂筋まちづくりネットワーク、再生可能エネルギー地域活性協会(FOURE)が共同で、民間施設のZEB化や、災害時にもエネルギーの安定供給が確保される業務継続地区(BCD)の構築などに取り組む。再エネの適地の確保が難しい大都市中心市街地での脱炭素化を図る。

対象エリアは、大阪市中央区にある御堂筋エリアで、主なエネルギー需要家として38の民間施設と市役所本庁がある。エリア内にある施設側の取り組みでは、民間のオフィスビルをZEB化する他、市役所を含めた施設に対して窓ガラス一体型などの太陽光発電設備(97㌔㍗)と高効率空調の他、うめきた2期区域でも活用されている地中熱を利用した冷暖房システムを導入する。
また、エリア内建て替えビルへのコージェネ(CGS)などの自立・分散型電源の導入と複数の既存施設を熱導管や電力自営線でつなぐことによるエネルギー融通・面的利用によって、BCDの構築を進める。
民間施設のZEB化は2024~28年度、CGS設備の導入は24~27年度、地中熱利用は25~30年度に行う。
再エネの適地が確保しづらいという課題に対応するための取り組みでは、同エリア外から電力を供給する。具体的には、一戸建て住宅や民間所有地、湾岸部の市有未利用地に太陽光発電設備(9274㌔㍗)を導入し、そこで生まれた再エネを中心市街地に供給する。
また、民間企業と地方自治体合わせて37団体が加盟し、約3000カ所の発電所を持つFOUREと連携し、全国の再エネ適地を支援する代わりに大阪市中心部に電力を調達する新たなスキームを検討している。同様に、下水道消火ガスを利用したバイオガス発電(4140㌔㍗)や市域の剪定枝を利用した木質バイオマス発電(5750㌔㍗)などのFIT電気を地産地消型の電力として供給するため、ビルオーナーなどとのマッチングを行う方針だ。
取り組みのタイトルは「みちからまちを変えていく!人中心のカーボンニュートラルストリート「御堂筋」~人・モノ・資金・企業・情報を呼び込む持続可能な都市エリアの創出~」。